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内科・消化器内科・外科・美容外科
木場内科外科内視鏡クリニック
東京都江東区木場1丁目4-3MEFULL木場 3階

TEL:03-3644-4976
(ヨクナロー)

対応する消化器疾患

食道・胃の病気
大腸の病気
肝臓、胆嚢、膵臓、胆道の病気

食道・胃の病気

逆流性食道炎

逆流性食道炎は胃酸が食道に逆流して炎症を引き起こす疾患です。通常、食道と胃の間にある下部食道括約筋は、食道から胃への逆流を防いでいますが、この筋肉が加齢や肥満などで緩んだり、逆流を防ぐ働きが弱くなることによって胃酸が食道に逆流し、炎症を引き起こすことがあります。

逆流性食道炎の主な症状としては、胸やけ、上腹部通、喉の痛みや咳、喉のつかえ感、喉の声がれなどがあります。胃の近くの炎症なのに咳が出たり喉がつかえる症状が出ることが多いのも特徴です。また、胃酸の逆流が続くと、食道の粘膜が傷つき、食道が狭くなる(食道狭窄症)などの合併症が起こることがあります。
逆流性食道炎は、適切な治療を行わない場合、胸やけなどの症状が悪化し、生活に支障をきたすことがあります。また逆流性食道炎を放置することによりBarret食道癌が引き起こされることも稀にあるとされます。
治療には、胃酸を抑える薬や、必要に応じて手術などがあります。

胃カメラで状態を把握することが重要です

胃炎(急性/慢性)

急性胃炎と慢性胃炎は、胃の炎症を指す消化器疾患です。以下にそれぞれの病態とピロリ菌の関与の有無について説明します。

急性胃炎は、突然発症し短期間に起こる胃の炎症です。主な原因は、感染、薬物、アルコールの摂取、食べ過ぎなどが挙げられます。急性胃炎では、胃の内腔や粘膜が炎症を起こし、一時的な胃の不快感や痛みを引き起こすことがあります。一般的な症状には、吐き気、嘔吐、腹痛、食欲不振などがあります。

一方、慢性胃炎は長期間にわたって持続する胃の炎症です。主な原因は、ピロリ菌感染、長期的なアルコールの摂取、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用、自己免疫反応などがあります。慢性胃炎では、胃の内腔や粘膜に炎症が継続的に存在し、胃酸の分泌能力が低下することがあります。一般的な症状には、腹痛、胃もたれ、吐き気、食欲不振、胃酸過多などがあります。ピロリ菌感染は、慢性胃炎の主要な原因とされています。このバクテリアは、胃の内部に感染し、炎症や胃酸の分泌異常を引き起こすことがあります。ピロリ菌による慢性胃炎が続くと、胃がんのリスクが大幅に上がるので注意が必要です。

胃カメラで定期的な経過観察が非常に重要です。

ピロリ菌の関与があるかどうかは、症状や病歴、特定の検査(例:呼気検査、血液検査、胃内視鏡検査など)によって確認されます。
ピロリ菌感染が見つかれば、抗生物質と酸抑制薬を1週間ほど内服して感染を治療することが一般的です。

ピロリ菌感染

ピロリ菌(Helicobacter pylori)は、胃の粘膜に生息する細菌の一種で、胃炎や胃潰瘍の原因の一つとされています。ピロリ菌は、口から摂取された食物や水を介して感染が広がります。一度感染すると、胃の中に定着して長期間生き残り、胃の内側にある粘液層の中に潜んで繁殖します。ピロリ菌感染は、潜伏期間中は症状を示さず、発症すると胃炎、胃潰瘍、胃がんなどを引き起こすことがあります。特に胃がんの殆どはピロリ菌感染に関連すると言われておりますので陽性であれば早急に除菌を行うことが肝要です。

ピロリ菌感染は、抗生物質と胃酸抑制剤を組み合わせた治療で治療可能です。特にタケキャプを併用した除菌療法は奏功率も高く、現在は第一選択となっております。治療が成功すれば胃炎や胃潰瘍の再発率が低下することが知られています。早期発見・早期治療が重要です。

胃潰瘍/十二指腸潰瘍

胃潰瘍とは、胃壁の内側にできる傷や穴のことを指します。胃の内部は胃液によりかなり高い酸性環境であり、この環境下で胃壁の組織が傷つくことで胃潰瘍が生じます。胃潰瘍の原因は、非ステロイド性抗炎症薬(ボルタレンやロキソニンなど)の長期使用、過剰なストレスやアルコール摂取などが挙げられます。

胃潰瘍の症状には、胃痛、吐き気、嘔吐、食欲不振、体重減少、胃酸逆流などがあります。胃潰瘍は早期に発見された場合、通常は薬物治療によって治療が可能ですが、放置すると胃や十二指腸が破れてしまう「穿孔」という合併症を引き起こす可能性があるため、適切な検査・治療が必要です。また胃潰瘍は胃がんとしっかり鑑別する必要がありますので胃カメラの検査が重要です。

胃ポリープ(胃底腺ポリープ・過形成ポリープ・腺腫)

1、胃底腺ポリープ

胃底腺ポリープは、胃の上(口側)から真ん中あたり(胃体部)に主に生じる腺性ポリープです。通常、小さくて良性であることが多く、表面は滑らかまたは乳頭状になっています。一般的には、胃底腺ポリープはがん化するリスクは低いとされています。ピロリ菌のいない胃に発生することが多いので、このポリープがあるといことは比較的炎症が少ない良い環境と言えます。

2、過形成ポリープ

過形成ポリープは、赤みが強く凹凸が目立つのが特徴です。胃のどの部分にもみられ、多発することもあります。一般的にはピロリ菌陽性で長年続く炎症がある胃に発生します。基本的には良性であり、通常がん化するリスクは低いとされていますが特にサイズが大きいものは、稀に悪性化する可能性があります。したがって、定期的な検査やフォローアップが推奨されます。

3、腺腫

胃腺腫と呼ばれ、白っぽい「こぶ」のような形状をしています。男性に多く、特に高齢者に多いとされています。

一般的に、胃ポリープはほとんどが癌化しないと考えられていますが、腺腫性ポリープは比較的癌化しやすいとされています。特に2cm以上の大きさになると、約半数の症例で癌が併発することがあります。そのため、腺腫性ポリープが見つかった場合には、厳重な経過観察が必要で場合によっては切除をする必要があります。

胃がん

胃がんは、胃にできる悪性腫瘍であり、進行すると胃壁に浸潤し、胃の周囲のリンパ節、肝臓、腹膜、肺などに転移することもあります。
原因の一つとしてピロリ菌との関連が証明されています。

注意しなければならないのは酷く進行しない限り症状が現れないところです。検診で行われるバリウム検査は大変な割に、小さな病変や平坦な病変の発見が困難であり限界があります。一方、胃内視鏡検査は胃の粘膜を直接観察する方法であり、微細な病変も検出でき、同時に組織検査も可能です。当院ではハイビジョンの経鼻内視鏡を全例に使用しており、鼻からでも口からでも検査の苦痛を大幅に減らしております。

機能性ディスペプシア

機能性ディスペプシアは、一般的に"FD(Functional Dyspesia)"と略され、胃カメラなどの検査で明らかな異常がないにもかかわらず、慢性的な上腹部の不快感や痛み、膨満感、吐き気、食欲不振などの症状が続く状態を指します。炎症や潰瘍などの明確な病変も見られないため、"機能性"と呼ばれています。ディスペプシアは「消化不良」という意味です。一説には日本人の10人に1人が当てはまるとも言われます。

FDの原因ははっきりとは分かっていませんが、ストレスや不規則な生活習慣、過剰な飲酒や喫煙、食事の乱れ、胃酸分泌の異常などが関与すると考えられています。治療には、生活習慣の改善や食事の見直し、ストレスの軽減などが推奨され、必要に応じて制酸剤などの処方も行われます。

大腸の病気

大腸ポリープ(腺腫)と大腸がん

大腸ポリープは、「腫瘍性ポリープ」と「非腫瘍性ポリープ」に分けられます。
腫瘍性ポリープは「腺腫」と呼ばれる良性の腫瘍と「がん」に分類されます。
腺腫は、大腸ポリープのほとんどを占めており、ある程度大きな腺腫はがんになる前の状態(前がん病変)と考えられています。ほとんどの大腸がんは腺腫から発生すると言われており、腺腫のうちに内視鏡で切除することで大腸がんを予防することができます。

腺腫が必ずがんになるわけではありませんが、大きさが10mmを超えると徐々にがん細胞を含む可能性が高まることがわかっています。しかし我々からすると10mmというとかなりの大きさですので、だいたい5mm前後からは積極的にポリープを切除することが一般的です。ただし5mm未満でも表面の色調や形態が異常だったり、中央部が陥凹しているポリープは大きくなくても切除する場合があります。

大腸がんを予防することは困難ですが、大腸がんは腺腫の段階で切除することで未然に防ぐことができる数少ないがんです。40歳を過ぎたら、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けることをお勧めします。これにより、大腸がんの予防や早期発見ができます。

結腸憩室症

結腸憩室症とは、結腸(大腸)に発生する袋状の突起である憩室(けいしつ)が、その周囲の筋肉の弱点や圧力の増加などによって、壁が膨らんでいく状態を指します。一般的には、高齢者に多く見られる疾患であり、特に便秘、西洋型食生活や運動不足などの生活習慣が原因とされています。

多くの場合、結腸憩室症は症状を引き起こさず、偶然発見されることもありますが、一部の人は、腹部の不快感や痛み、便秘や下痢、腸の動きの異常、腹部膨満感などの症状を経験することがあります。稀に憩室から出血すると憩室出血と呼ばれ、腹痛等の症状が無い状態で鮮血便がでることがあります。また憩室に感染が怒ると憩室炎が生じその部分の腹痛が起こり、炎症が悪化すると稀に憩室穿孔となり腸が破れて腹膜炎を起こすこともあります。

私も憩室が1つあると検査で言われましたが、特に症状が無ければ治療の必要はありません。ただし大腸のあちこちに多数あると言われた方は上記の憩室炎や出血のリスクが高くなりますがこれも予防的に治療することはありません。

結腸憩室症の治療には、生活習慣改善、食事療法、便秘や下痢の治療、感染症の治療などがあります。症状が軽度の場合は、これらの治療法によって症状が改善することが多いですが、重症化した場合や合併症がある場合は、手術が必要となることがあります。

虚血性腸炎

虚血性腸炎とは、主に大腸(特に自分から見て左側にある大腸、つまりS状結腸や下行結腸)の血流が一時的または永続的に減少または中断された場合に起こる、腸管組織の炎症性疾患です。

腸は、血管から栄養素や酸素を得るために多くの血液を必要としています。しかし腸管の血流が減少する「虚血」になりますと、腸管組織でも一番表面にある粘膜に酸素不足が生じ、組織の損傷を引き起こします。これによりまず粘膜細胞が死んでしまい炎症や出血を引き起こします。

虚血性腸炎の原因には動脈硬化などがあり、高齢の便秘気味の方がなりやすいといわれております。症状は、腹痛を伴う下痢や血便、吐き気、嘔吐があります。腸閉塞や腸捻転が原因の場合は強い腹痛がおき、大腸穿孔、腸管壊死など重大な病態につながる場合もあります。
虚血性腸炎は、早期に診断し、適切な治療を開始することが重要です。治療法には、栄養補給、抗生物質、手術などがあります。

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎は、大腸内の粘膜に炎症が起こり、潰瘍や出血を引き起こす慢性的な炎症性腸疾患の一種です。主に直腸と結腸に炎症が起こり、その程度や範囲は患者によって異なります。症状には、腹痛、下痢、便秘、下血、貧血、発熱などがあります。原因ははっきりしておらず国の難病にも指定されておりますが、自己免疫疾患の一種と考えられています。また、近年患者数は増加傾向です。

治療法には、抗炎症薬や免疫抑制剤、栄養療法、手術などがありますが、症状の程度や範囲、患者の状態によって異なります。定期的な診察、採血検査、大腸カメラの検査大腸内視鏡検査(大腸カメラ)で状態をしっかり把握することが重要です。

クローン病

クローン病(Crohn's disease)とは、消化管に発生する慢性的な炎症性腸疾患の一つで、一部の人に見られる自己免疫疾患の一つです。
クローン病は、消化管のどこにでも発生することがありますが、一般的には末梢部位の小腸や大腸に発生し、腸管の粘膜や壁の層にまで及びます。症状としては、腹痛、下痢、腹部膨満感、発熱、食欲不振、体重減少、貧血などがあります。

クローン病の原因は、遺伝的素因、環境因子、免疫系の異常などが関係していますが、詳細な原因はまだ不明で国の難病にも指定されております。一般的に、病気の進行によって、消化管の壁が厚くなり、狭くなることがあります。また、瘻孔(Fistula)や腸管壊死などの合併症も引き起こすことがあります。診断には胃カメラ、大腸カメラの検査が重要となります。

クローン病の治療法には、抗炎症薬、免疫抑制剤、生物学的製剤などがあります。症状が軽度の場合は、これらの治療法によって症状が改善することが多いですが、重症化した場合は手術が必要となることがあります。また、食事療法や適切な栄養補給も治療の重要な一部となります。潰瘍性大腸炎と違い、胃や十二指腸にも病変が発生する可能性がありますので胃カメラ大腸内視鏡検査(大腸カメラ)での経過観察が必要です。

感染性腸炎

文字通りウイルスや細菌に感染し腹痛や下痢、時に血便などを引き起こします。2021年の統計では原因として

1位:ノロウイルス
2位:サルモネラ菌
3位:キャンピロバクター菌

となっております。血便の原因ともなりますので大腸がんや大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎やクローン病との鑑別が重要となります。ノロウイルスは非常に有名で感染力が非常に強いことで知られます。また、キャンピロバクター菌は鶏肉が十分に加熱されていない場合に感染が起きやすく全身の筋肉に力が入らなくなるギラン・バレー症候群を引き起こすこともあり、お腹の症状にとどまらないこともあります。

肝臓、胆嚢、膵臓、胆道の病気

胆石症

胆石症とは、胆嚢や胆管内に石ができる疾患のことを指します。胆石は、胆汁中のコレステロールやビリルビンなどが結晶化してできるもので、大きさや形状は様々です。

胆石症の症状には、胃腸の不調、上腹部や右上腹部の痛み、吐き気、嘔吐、黄疸、発熱などがあります。胆石が胆のうから出て胆管を塞いでしまうと、胆汁の流れが滞り黄疸や胆管炎など重篤な病態を引き起こすことがあります。予防には、バランスの良い食生活や適度な運動、適切な体重管理が重要です。

胆石症の原因には、遺伝的要因、肥満、高脂肪食などが挙げられます。一般的に、胆石が無症候性の場合には、手術を行わずに経過観察することができますが定期的に「腹部超音波検査」を受けて石の大きさや数などをチェックすることが重要です。

症状がある場合や胆石により胆のう炎を起こしてしまった場合には、胆のうごととってしまう「胆のう摘出術」が適応となります。

よく「石だけ取って胆のうを残せないのですか?」と以前大学病院で手術説明をする際に質問されましたが、容易に再発することなどから現在は胆石だけ除去する手術は一切行われておりません。また胆のうがなくなっても基本的には消化吸収に問題ないことがわかっております。現在は腹腔鏡を用いて傷が非常に小さいまま手術ができますので2泊前後の入院で可能となります。私の出身の医局である東邦大学医療センター大橋病院外科の肝胆膵班では日本でも有数の「傷を最小限にする胆のう摘出術」を行う施設ですので必要であれば紹介させていただきます。

胆嚢腺筋症

胆嚢腺筋症とは、胆嚢の筋肉層と粘膜層の境目にある組織が、過剰に増生してしまう病態で、簡単いうと胆のうの壁が分厚くなっている状態です。壁が分厚くなる場所により

1、限局型(主に胆のうの底部、つまり一番底の壁が分厚くなります)
2、びまん型(全体的に胆のうの壁が厚くなります)
3、分節型(中央部の壁が分厚くなり、まるでひょうたんのような内腔になります)
の3つに分類されます。

胆嚢腺筋症の原因ははっきりとはわかっていませんが、自律神経の乱れや、胆嚢の神経・筋肉の機能障害、胆嚢の慢性的な炎症などが関係していると考えられています。

胆嚢腺筋症はほとんどの場合無症状ですが、胆石等を合併していると腹痛などの症状が出る場合もあります。また、壁が分厚くなる胆のうがんとの鑑別が重要となりますので症状はなくても定期的な超音波検査を受けて壁の厚さをチェックすることが非常に必要です。

胆嚢腺筋症だけで治療の対象となることは殆どありません。しかし徐々に壁が毎年厚くなるなど胆のうがんが疑われる場合や胆のう炎などの炎症を併発する場合は胆のうをとってしまう「胆のう摘出術」が適応にある場合もあります。